トバモリー21年(ザ・モルトマン)
- 2020.01.31 Friday
- 02:14
TOBERMORY 21yo(1995)
The Maltman
Refill Hogshead, 50.9% abv.
名だたるボトラーズと肩を並べ、実力派の一角となったモルトマン。数年前にリリースされた、マル島で唯一の蒸留所"トバモリー"からのボトリングは、トレンドを抑え、その面白さを改めて伝えてくれる素敵なボトルでした。
スペイサイドやアランを連想させる華のなかに、土着のキャラクターがはっきりと潜み、(いい意味で)その粗野なテクスチャーは、味わいに珍妙な趣きを与えています。同スペックのリリースが他所からも重なり、いずれもそれぞれに良さが見られましたが、こちらは加えて万人に受け入れられる親しみやすさも備えており、特に良い印象が残りました。
※余談、Cadenheadスモールバッチ('95 ホグスヘッド)が最高賞。
世界中で止まらない需要の拡大と、投機マネーの流入によって、絶望的に枯渇する原酒のストック。もはや有名蒸留所の熟成したウイスキーを、手頃な価格で楽しむことは不可能な時代になってしまいましたが、一方で視点を変え、少し深く掘り下げてみれば、充分に新しい感動に触れる機会が随所に転がっています。
安価なブレンデッド用に原酒を買い叩かれ、ひと昔前までは打ち棄てられていたスコットランド辺境の島に、心あるウイスキー愛好家たちの熱い視線が集まっていること。蒸留所のファンの一人として心から嬉しく思います。ともあれ、ありがとう。今後もマル島から目が離せません。
※補記
最後の一杯、テイスティングノート。
まだ固く艶のあるトップ。ややエステルの強い、甘い芳香が立ち上がる。大麦、黄桃、クレヨン、ラバーケース、羊毛、かすかにピートスモーク。口当たりは柔らかく、伸びのある不思議なパレート。あん蜜のシロップが、掌を返すように苦味に変化し、木片と灰を舌の上に残す。時間とともに、豊かなバニラを伴ったドライフルーツがグラスから溢れ出した。アンビバレンツな味の構成が面白い、マル島ならではの魅力的なキャラクター。
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